院長挨拶 および院長コラム “やじろべえ”
院長 山下 智省(やました さとよし)

下関医療センターは、平成26年4月に地域医療機能推進機構の発足と同時に誕生し、長年親しまれてきた下関厚生病院から移行してできた病院です。私は、その二代目となる病院長を平成30年4月に拝命いたしました。当院は独立行政法人であり、いわゆる公的病院として位置づけられる組織です。つまり、当院に求められる最も大切な使命は、住民の健康の維持と向上、安心しておくることのできる生活の実現に貢献することにあります。
現在、25診療科を有し、地域医療支援病院をはじめとして多くの施設基準・認定を受けており、急性期疾患を中心に診断・治療を提供できる体制を整えています。加えて、健康管理センター・介護老人保健施設・居宅介護支援事業所・訪問看護ステーションといった部門を持ち、疾患の予防・治療から介護まで幅広い医療サービスを提供できる機能を有しています。
また下関という地方都市においては、病院や介護施設には社会インフラという性格に加えて、地域の産業の一つという側面があり、医療・福祉が充実することによって、その地域が豊かになると信じています。これらを通じて、当院が地域に貢献できることは大いにあると言えましょう。
今後ますます少子高齢化が進み、地方はとかく暗い将来を描きがちです。そんな気分を反転させるためには、まず病院が元気にならなくてはいけません。そして当院が下関の暮らしと文化の核となる組織に成長する。そんな夢を抱いて、私たちは努力してまいります。
院長コラム “やじろべえ”
2023年9月
この7月末をもって下関市保健部長が異動し、保健部は新体制に移った。ほぼ2年ごとの恒例行事ではあるが、このたびの人事はいくぶん重い意味を持つ。保健部長ポストは、下関市では長らく厚労省付き医系技官が出向して務めてきたが、それが途絶えることになったのである。本庁で離職者がたくさん出たためらしい。2024年問題は官僚の世界も例外ではないようだ。地域医療構想が議論されている下関にとって、本庁とのパイプが細るのは痛い。が、歴代保健部長の下で、病院再編は大きな一歩を踏み出したことをひとまず感謝すべきだろう。これからは彼らが敷いたレールをさらに延伸すべく、現地の我々が汗をかくときだ。
保健部長といえば、あることを思い出す。
ずいぶん前になるが、医系技官でもあるH保健部長と会話したときのこと。さぞかし新聞をよく読み、朝・毎・読・日経といった主要紙は必ず目を通しているのでしょうね、と問うたところ、「新聞は読まない」と返ってきて、仰天した。
彼によると、情報は一次情報が貴重なのであり、それが新聞では得られないとのこと。そればかりか新聞はしばしば真実を伝えていないから、ということらしい。
ナマの一次情報が容易に手にはいる環境に官僚たちはいるのだろう。そうではない者たちは、情報リテラシーをいっそう磨かなくてはいけないようだ。
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