臨床検査部

診療・各部門

臨床検査部は24時間365日の緊急検査、緊急輸血対応および迅速報告体制に尽力しています。

一般検査

尿検査、便検査、髄液検査、体腔液検査(胸水、腹水、関節液)などを行っています。

尿検査

尿は身体の変化を早期に反映するため、腎臓・尿路系・肝臓・心臓などのいろいろな機能や病態が解ります。
定性では糖・蛋白・白血球・赤血球などが出ていないか調べます。
また沈査では尿中の細胞・結晶・細菌などを顕微鏡で調べます。

便検査

便潜血では便中に血液が含まれているかが解ります。
消化管などからの出血を調べる検査で、特に大腸がんの早期発見に有用です。
虫卵検査では寄生虫の卵や虫体を顕微鏡で検索します。

髄液検査

脳脊髄液の糖・蛋白などの成分や、存在している細胞の種類や数を調べます。
髄膜炎の診断に有用です。

体腔液検査

胸水・腹水・関節液中の成分を調べます。

血液検査

自動血球分析装置を用いて赤血球、白血球、血小板などの血球成分を測定します。
また血液塗抹標本を作製し顕微鏡で各成分の形態を観察します。
顕微鏡では白血病細胞や悪性細胞は無いか、異常に増えている細胞は無いか、形態に異常は無いかなどを鏡検しています。
異常があれば骨髄液穿刺検査を行います。

血液凝固(線溶)検査

血液の凝固異常を調べる検査で血栓症の予防や治療の経過をみたりします。

生化学検査

患者さんより採決した血液浄化センターを3000回転/分、5分間高速遠心をすると、赤血球や白血球を取り除いた上澄み(血清)が採取されます。
この血清には患者さんの各臓器の状態を反映する様々な物質(蛋白質や酵素等)が含まれており、その値を測定することにより疾患部位をある程度特定することができます。
また治療による経過観察としても有用です。

1)肝臓機能検査【AST,ALT,LD,ALP,γ-GT,Ch-E,T-Bil,D-Bil等】

肝臓の炎症性および実質性(肝癌・肝硬変)変化、胆のう・胆道の状態を主に反映しますが、複数(他臓器)の分画を持っている項目も存在するために総合的に判断します。

2)腎臓機能検査【UN(尿素窒素),CRE,UA(尿酸)】

腎臓の状態を反映します。またUA(尿酸)は痛風の経過観察にも用いられます。

3)膵臓機能検査【AMY,P型AMY,リパーゼ】

膵臓の状態を反映します。またAMYは耳下腺由来のものも存在しますので、耳下腺炎でも高値になります。

4)心臓機能検査【CK,CK-MB】

狭心症発作時、心筋梗塞時に高値となります。
またCKは心筋だけでなく全身の筋肉にも存在するため、痙攣や筋肉疲労等によっても高値になります。

5)貧血検査【Fe(血清鉄),UIBC,フェリチン】

貧血の診断や経過観察に用いられます。

6)蛋白質・脂質検査【総蛋白質,アルブミン,中性脂肪,コレステロール、HDLコレステロール(善玉コレステロール),LDLコレステロール(悪玉コレステロール)】

高脂血症の観察、また患者さんの栄養状態の把握に用いられます。

7)感染症・炎症検査【CRP】

CRPは身体に炎症が起きることにより高値となります。

8)リウマチ因子検査【RF】

慢性関節リウマチの検査です。
膠原病や自己免疫性疾患でも高値となります。

9)電解質検査【Na,K,Cl,Ca(カルシウム),IP(無機リン),Mg(マグネシウム)】

体内のミネラルバランスを知る事ができます。

10)薬物血中濃度検査【カルバマゼピン,バルプロ酸,バンコマイシン】

抗てんかん剤・強心剤・抗菌薬を服用されている患者さんの体内薬物濃度を測定します。副作用防止や医師の服薬指導に役立ちます。

11)免疫グロブリン検査【IgG,IgA,IgM】

肝疾患、感染症、膠原病、多発性骨髄腫などの疾患で高値となります。また免疫不全では減尐します。

12)可溶性IL-2レセプター

造血器悪性腫瘍、レトロウイルス感染症、リウマチ、膠原病などで上昇し、病勢を反映する指標となります。

免疫血清検査

免疫とは?

ウィルス・細菌・カビなどの病原体が体内に入ると、その病原体(抗原)に対する特異的なタンパク質=「抗体」が作られます。
抗原と抗体は、鍵と鍵穴の関係のように、ある種の抗原はそれに対応する抗体とのみ反応します。
免疫血清検査とは、この抗原と抗体の反応を利用して行う検査です。

【感染症検査】

  • HBs抗原、HBs抗体・・・B型肝炎ウィルスの感染の有無を調べます。
  • HCV抗体・・・C型肝炎ウィルスの感染の有無を調べます。
  • TPHA法・・・梅毒の感染の有無を調べます。

【腫瘍マーカー・その他検査】

  • AFP、CEA、CA19-9、PIVKAⅡ、CA125、CA15-3、PSA・・・癌や腫瘍の時に上昇します。
  • TSH、FT3、FT4・・・甲状腺機能を調べます。
  • インスリン・・・糖尿病の診断などに使われます。
  • M2BP・・・肝臓の線維化マーカーです。
  • NTproBNP、TnT・・・心筋梗塞や狭心症の有無をしらべます。
  • その他に妊娠反応、インフルエンザ検査なども行います。

【血液型検査】

ABO血液型、Rh(D)血液型、直接クームス試験、間接クームス試験、不規則抗体検査を行います。

輸血検査

輸血とは

輸血とは、血液中の赤血球(酵素を運ぶ成分)や、血小板、凝固因子等(出血したときに血液が止まるように働く成分)の各機能や量が低下したときに、その成分を補充することを主な目的として行われます。
手術や事故で大量の出血が起こったときや、自分自身で血液が十分に作れなくなった場合などです。
現在は、輸血する人にとって必要な成分(赤血球・血小板・血漿)だけを輸血する成分輸血が輸血療法の基本となりました。

輸血用血液製剤

赤血球成分製剤 (赤血球液:RBC)・・・慢性貧血や、手術時の出血に対して用いられます。
血小板成分製剤((濃厚血小板:PC)・・・血液中の血小板が尐ない人や、出血に対する止血目的で用いられます。
血漿成分製剤 (新鮮凍結血漿:FFP)・・・血液中の凝固因子が減尐している人や、血液中の血漿成分が急激に減尐したときに用いられます。

【血漿分画製剤・アルブミン製剤】

等張と高張の2種類の製剤があります。
等張製剤・・・循環血漿量の確保に使用されます。緊急出血時に迅速に血漿の不足を補給することができます。
高張製剤・・・血管外の水を血管内に戻す際に使用されます。血管内に水を戻し、浮腫(むくみ)や腹水・胸水の改善を図ることができます。

交差適合試験(クロスマッチ)

患者さんに血液製剤を輸血しても溶血性輸血副作用が起こらないかを予め確認しておく検査です。
輸血する血液製剤と患者さんの血液を試験管内で反応させて、凝集や溶血(赤血球の破壊)が起こらないかを確認します。
この検査で凝集や溶血が認められた血液製剤は輸血することはできません。

自己血輸血

現在輸血療法に用いられている輸血用血液製剤は、すべて献血によるものですが、手術に備え自分の血液を採血し、貯血しておくものが自己血輸血です。
手術時に出血した際は、採血・保管しておいた自分の血液を輸血します。
ただし、貧血があったり、緊急手術などの場合は自己血輸血の適応外になります。

微生物検査

微生物検査室では一般細菌の培養・同定・薬剤感受性試験や、抗酸菌(結核菌)の染色・培養、核酸増幅検査として、COVID-19、CDトキシンB遺伝子、H.ピロリ遺伝子検査等、感染症診断の支援を行っています。
また、ICTやASTといった院内チーム活動や、JANIS、J-SIPHEなどのサーベイランスへの参加、アンチバイオグラムの作成などの院内感染防止対策業務も行っています。

検査項目

細菌培養同定検査(Phoenix M50) 自動遺伝子検査装置(TRCReady-80)
薬剤感受性試験(Phoenix M50) 自動遺伝子検査装置(スマートジーン)
血液培養装置(BACTEC FX) クラスⅡ安全キャビネット
微生物検査システム(MDMS)

生理検査

生理検査とは、血液検査などとは異なり、患者の身体に触れて、直接生体信号を取り出し、数値や波形や画像といったものに置き換えて、身体(臓器)の様子や状態、働き具合などを調べる検査です。
心電図検査、脳波検査、肺機能検査、超音波検査(エコー検査)等が生理検査に当たります。
当院検査室では、以下の検査を検査技師が行っています。
循環機能検査・・・心電図、負荷心電図、血管伸展検査(ABPI/CAVI)、睡眠ポリグラフィー(PSG)、CPX
超音波検査・・・腹部、心臓、血管(頸、下肢動静脈、腎)、甲状腺
肺機能検査
脳波検査
骨密度検査
聴力検査
NO

循環機能検査

心電図

心臓は収縮や拡張(縮んだり伸びたり)をくり返しながら全身に血液を循環させるポンプとして働いています。
この収縮と拡張の動きを電気信号波形として表したのが心電図です。
めまい、息切れ、動悸、胸の痛みなどは不整脈や心筋梗塞などの心疾患を原因とする場合があり、それぞれ特有な心電図波形を示します。
特に、不整脈の検査には欠かせない検査となります。

24時間心電図(ホルター心電図)

携帯用心電計で24時間心電図を記録します。
例えば一日の生活の中で、不整脈があるのか、どのくらいあるのかなど、不整脈の種類を鑑別するなど、より詳しい検査です。
また、胸痛などの自覚症状があり、いつ発作が起きるかわからない時などにも検査を行います。

運動負荷心電図

ベルトコンベアで早歩きをしながら心電図と血圧を記録する検査です。
運動(心臓に負担をかけること)によって症状(胸痛など)が起きるのか、心電図変化があるのかを検査します。
医師立ち会いのもとで検査を行います。
安静時では見つからない(労作性)狭心症を見つける検査です。

ABPI/CAVI検査(血管伸展検査)、ABPI

血圧と足首の血圧の比です。ABPI値の低下は動脈硬化による下肢の血管の狭窄が進んでいることを表します。
下肢の血管の狭窄があると、歩行時の足の痛み、足先の冷感などの症状があるといわれています。

CAVI

血管壁の硬さを表す指標の一つで、動脈硬化の程度がわかります。
高血圧、高脂血症、喫煙、糖尿病などは動脈硬化を進行させる因子です。

睡眠ポリグラフィー(PSG)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に何回も呼吸が止まり、その結果日中傾眠などの種々の症状を呈する疾患の総称、とされています。
このSASの原因や重症度を調べ、治療法などを決定するために行うのが、睡眠ポリグラフィー検査です。
睡眠ポリグラフィー検査には、自宅に検査機器を持ち帰って装着する簡易型検査と、一泊入院して詳しい睡眠状態や呼吸状態を検査する精密検査があります。

肺機能検査

肺疾患の診断に役立ちます。
以上の項目があります。

肺活量(VC)・・・肺で活用できる換気量は足りているか?
努力性肺活量(FVC)・・・中枢気道(空気の通り道)は細くないか?
クロージングボリューム測定(CV)・・・末梢気道(空気の通り道)は細くないか?
残気量測定(FRC)・・・残っている量は適正?
肺拡散能力(DLCo)・・・酸素は血中にうまく取り込まれているの?

脳波検査

脳波検査は、波形を診て、熱性けいれん・てんかん・意識障害・脳器質疾患疑い・脳死の判定などの診断に役立ちます。

骨密度検査

踵を検査機器に挟んで、音波を透過します。
音波の透過した速度を測り、骨の硬さを推測する事で骨の密度の指標とします。
検査は数分で終わります。骨粗しょう症の診断に役立ちます。
音波を使うので何度でも出来、安全です。

超音波検査

超音波は人体に害がなく痛みもともなわずに体の内部(各種臓器、血管など)のリアルタイムに動画像を猫出することができる検査で、いろいろな分野で活躍しています。

腹部、甲状腺、乳腺エコー検査

肝臓・胆嚢・膵臓・腎臓・脾臓、甲状腺、乳腺の形、実質を見て、炎症や腫瘤の有無などを検査します。

心電図と異なり実際の心臓の大きさや弁や壁の動きをリアルタイムに観察し心機能を検査します。
心肥大や心筋梗塞、弁膜症に有用です。

血管エコー検査(頸動脈、下肢動静脈、腎動脈)

血管の断面像を猫出し動脈硬化の度合い(動脈硬化が進むと壁が厚くなる)やプラーク(壁の表面が隆起する)の有無、危ない血栓の有無、血の流れ(詰っていないか)などを検査します。

病理検査

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